Shrimp Award 本審査員によるシュリンプ実物審査(テスト開催)

2018年12月12日(水)

開催場所:CRIMSON(愛知県長久手市)

スポンサーによるシュリンプ画像一般審査

2018年12月12日(水)〜終了時間 12月14日(金)21:00〜21:59

開催場所 ヤフオク シュリンプカテゴリー (シュリンプアワード公式ページより)

 

本審査員

CRIMSON 代表 織茂 淳氏(審査委員長)

有限会社アクア・テイラーズ 代表 高橋 正人氏

有限会社錦 代表 三村 隆盛氏

株式会社Seeds 代表 長谷川 雅氏

株式会社グローバルアクアリウム 代表 代田 勝己氏

姫えびす 代表 横田 充範氏

BLUE PLANET 代表 濱野 宏司氏

 

レッドビーシュリンプに代表される鑑賞エビはこれまで何度も爆発的なブームが訪れ、度々メディアも注目するほどの影響力があった。アクアリウム総じて、熱帯魚や水草も同じく流行りの強弱はあるが、我々がこだわり続ける“鑑賞エビの世界”は独特のものがあると思う。 事前の予選(オークション)から本戦出場となった貴重なシュリンプ達が会場に並ぶこととなった。また、審査表に沿った評価を行いながらも、 総合的なエビの評価も分母において採点を行った。また、今後カテゴリー区分け、評価区分などは随時更新される可能性があるとのことである。 さて現在はどうか? 単刀直入に言おう、いい意味でシュリンプブームは過ぎ、現在のシュリンプ市場は平穏を保っている。ただし人気が無いわけではなく、年々入手しやすくなっている以前の高級種や定番のレッドビーも驚くようなクォリティーかつ割安感が加速して、躊躇少なくトライされる方が増加しているように思う。 会場の水槽セッティング。出場者のシュリンプははあらかじめ準備した飼育水と共に投入され、できる限り本来の環境に沿った環境で持ち味を発揮できるように手配されている。 ベアタンクにLEDライトという環境は極度シンプルであるものの、反射や保護色の素性により100%色彩を発揮することは難しいだろう。しかしながら、このような状況下でも屈することのない完成度の高いシュリンプ達の色彩美は称賛に値する。  では何故平穏感を感じる状況であるのか考えると、そこには中級層の減少があるように思う。通常、ホビーの世界ではピラミッド型の人口層となる場合がほとんどであろう。 しかし現在のシュリンプホビーの人口はそれに比例したものではないと考える。 もちろん以前はピラミッド型が維持されていたものと思われるが、同時に何より中級層の勢いが今より目立っていたと記憶する。 それでは中級層とはどのような状況のホビーストを意味するのだろうか? 筆者の見解としては、シュリンプ界の場合、ずばり“ブリーダーを目指したい方”である。 至近距離でブリーダー渾身の個体が一列に並ぶことで通常では比較できないレベルでの評価を行うことができた。最終的にコンテストという本質上 、優劣が競われるが、どの個体たちであってもなかなかお目にかかれない逸材であることは言うに及ばない。 艶のある色彩の品種に比べて、レッドビーシュリンプの色彩は即時本領発揮となならないながらも、潜在能力がひしひしと伝わっていた。 また、サイズ感からの迫力や色素のコントラスト、写真の角度だけでは知り得ないフォルム感もすべて確認できることが実物コンテスト形式において最大の魅力だろう。  もしくは“シュリンプ水槽を複数所有している方”と考えてもよいだろう。 ご存知の通り、シュリンプ飼育は高水温のジレンマがあり、冬場の保温よりも夏場の冷却はハードルが高いように思う。つまりコストの問題がある。ブリーダー志願や水槽複数所有はどちらもこの問題にどう向き合うかがカギとなり、本気になるための複合要因を求められるだろう。 また、目的の角度を変えてみれば “鑑賞エビ” から “繁殖エビ”への変化とも考えられる。 冒頭にほかのアクアリウムとは違う独特なもの・・・と表現したが、そこには“エビを増やす”という目標が最小公倍数として存在する。手に入れたエビが増えたとき、そして増え続けたときに大きなアドバンテージが実現化するのが他のアクアリウムジャンルと違うポイントであると確信する。 我々が熱愛するシュリンプ達は元来、ニッチな世界で熱いトレードが行われていた。 当時、いい意味でのハードルの高さが人気の加速につながったと思うが、同時に“商品”としての台頭も余儀なくされた。 審査員たちの集計は即座に公開された。ブリーダー名の公表とともに納得の結果と思えるケースも多く見受けられた。しかし全評価のポイント差異は大きく離れることがなく、まさにファイナルにふさわしい接戦であったのではないかと考える。 余談になるが、 有名国産メーカーであるADAは今や世界中に熱烈なファンとそのホビースタイルを浸透させているが、日本のアクアリストにもその誇りは間接的に影響しているだろう。 同じく世界に注目されるようになったレッドビーシュリンプはそれ以降に登場した様々な品種と相まってシュリンプジャンルを拡大している。 国産シュリンプが前提とされてきた世界も、もはやグローバル化し、流通経路も多義に渡る。先のADAのセンスを以て、シュリンプ界に重きを思う我々は、目標の定め方に“あるべき姿”を再確認する必要がありそうだ・・・ コンテストジャッジの前日および当日の到着から審査、撮影、発送・・・と目まぐるしく展開され、あっという間の収束を迎えた。写真は運営の中心となる機器のセッティングや記録に残すための撮影まで多忙を極められたCRIMSON 藤村氏。 さて、前置きが長くなってしまったが、今回コンテスト会場で審査員として参加させていただいたのでご報告させていただきたい。 (画像にあるキャプションで筆者が感じた部分を取り上げております。ただし撮影できた内容には限りがあったため一部紹介のみとなります) 長い前置きは、シュリンプアワードチャンピオンシップの意義とその方向性を想像してのことである。逆に簡略化してここから先の話をまとめると、コンテストのポイントは下記に集約されるだろうか。 ・実物、現物から感じる芸術性(同条件下での評価) ・写真から感じる直感性(出品者のセンス) ・オークション落札額からの価値観(需要の素質) ・ブリーディングの実在性(3匹出品による統一性) 以上をもとに、予選から選抜されたブリーダーのシュリンプたちが会場に展示されていると考え審査させていただいた。 上記の4ファクターは統合されると、自ずと出品者の実力が精査されることになるのはシュリンプホビーに長く携わったものには理解できることだろう。 文章による説明にも限りがあるため、審査表をご覧いただきたい。 ポイントは今回、評価するに重要なフィーリング、つまり加算に繋がるポイントが明確化かれ細分化しているところだろう。レッドビーシュリンプであってもそれ以外の種類であっても審査員はこれらの項目を追って評価を行い、出品者の思いを汲み取ろうとしたはずだ。 審査員それぞれは皆、総括的なポイントは評価の根底にあり、スペックをトレースしただけの確認をしているのでは無いことと思う。 現実的に不可能な方も多いのは承知の上で、できるだけ多くのかたに会場をご覧いただくことができれば、刺激と感動、そして今後の目標も変化するだろうと感じた。 何より第1回目ながら、多くの可能性を見出された関係者の方々には多大なご苦労もあったことと敬意の念を持ちながら、その素晴らしさに今後の展開にも期待したい!と願っております。 審査結果やその詳細はシュリンプアワード公式ページで公開されている為、そちらでご確認いただきたい。

 

シュリンプアワード公式ページ

http://www.lowkeys.co.jp/ShrimpAward.html

 

中級層の拡大、それはこのようなコンテストなどによる共通意識の確認と発信から始まる気がする。

すべてではないにしても流行りの地図を広げるには座標軸は必須であろう。

グローバリゼーションが進むほど、国産の意味は昇るべき。

種類の如何を問うよりも、ブリーディング熱が高まる日本を期待したい。

 

本文・記事  長谷川 雅